コロナ禍において、フリーランスの通訳者はスケジュールが一瞬にして真っ白になるという経験をしました。その後、リモート会議通訳の普及により徐々に仕事が戻ってきましたが、去年ごろから対面の案件も復活しはじめ、今年の秋はコロナ前よりも多忙な繁忙期となっています。またリモートと対面のハイブリッド型の会議も登場し、通訳者はITリテラシーも不可欠になってきました。そのような激動のポストコロナ時代に対応するために、特に地方在住のフリーランス通訳者はどのようにして仕事を開拓していくのか、どのようなスキルが必要か、ネットワークの広げ方など、個人的な経験を元に提案します。
今や、一般の人が業務で外国語を使う場面で機械翻訳が頻繁に使われています。精度が上がったと言われる機械翻訳の出力を見て、「結構良い訳が出るしこれで事足りる」と思う人は多く、いずれ翻訳の外注はゼロになるだろうとすら思う人もいます。ChatGPTに代表される生成AIも登場し、翻訳業への影響も議論されています。将来、翻訳者のニーズは本当になくなってしまうのでしょうか。翻訳者は機械翻訳の精度を確認するだけのチェック要員としてしか生き残る術はないのでしょうか。私はそんなことはないと思っています。人間の言語活動は機械翻訳が得意とするような字面訳ですべて伝えきれるほど単純なものではないからです。翻訳はもっと複雑なものです。まだまだ人間の翻訳者でなければ訳せない文章は世の中にたくさんあります。しかし、機械翻訳に比べて人間の翻訳は高価で、時間もかかります。そこをあえて人手による翻訳を選んでもらうためには...