THE POLICE INTERPRETER 警察通訳に必要な能力

(1) 演題「外国人犯罪における通訳人」
副題「取調べ通訳の問題点と対策」
統計によると、昨年の来日外国人犯罪は数年ぶりに増加しました。今後数年この傾向は進むと予想され、外国人犯罪対策は新しい局面を迎えていますが、外国人被疑者事件に不可欠な通訳人の資質や能力が疑問視される事案が散見されます。これら問題点を抽出し、その対策についてお話します。
 (2) 演題「警察通訳人に必要な能力」
副題「FILLERとは」
警察通訳に必要な能力とはなんでしょうか。刑事手続きの流れを理解することや高度な語学力を身に付けること、そして誠実に通訳することなどは、当たり前で、誰でもわかると思います。
ここでお話することは、取調官と被疑者の間に橋を架けるということです。抽象的ですね。どうやって橋を架けるのでしょう。ラポールという心理学の言葉があります。このラポールは警察庁でも取調べにも取り入れるべきとの見解です。
橋を架けるために、話者のFILLER(埋める:え~と、う~ん)を訳し、感情のトーンを可能な限り忠実に再現することです。これで取調官はまるで被疑者の言葉と表情を読み取ることができるのです。

 

Profile: 清水真

1983年、兵庫県警察巡査を拝命し、警察大学校国際捜査研修所に2年間入所し、警察実務中国語を習得。
帰県後は、主に県警本部外事課、組織犯罪対策課など外国人犯罪を取扱う部署で勤務し、通訳はもちろんのこと、自ら外国語での取調べを行うバイリンガル捜査官として外国人事件の解決に貢献し、晩年は通訳センターの責任者としてあらゆる言語の警察通訳人の育成指導に当たる。
この間全国警察では、取調べにおいて虚偽自白を誘引し、えん罪を引き起こすという大きな不祥事が発生し、取調べの可視化に向けた様々な法整備が行われ、警察においても取調べの高度化が検討される。
外国人被疑者の取調べの高度化を図るうえで、警察通訳人のレベルアップが必要不可欠であるにも関わらず、我が国において警察通訳を含む司法通訳人を養成する機関が存在しないことに疑問を抱き、昨年3月、31年間勤続した警察を早期退職し、日本では例のない司法通訳を養成する団体「社団法人 関西司法通訳養成所」を設立し、警察通訳人の育成に尽力している。